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【鬼滅】敬愛と情愛【煉獄さん】

第11章 薬草を届ける日




―――


数日共に生活していると、柱になったばかりの杏寿郎はとても忙しい事が分かった。

着物姿で出会ってしまった日のように早く帰る夜はとても珍しかったのだ。

それ故に、たった月に二回の薬草調達は随分と安全である事を知った菫は一人で胸を撫で下ろしたのだった。


杏寿郎は忙しい暮らしの中でも菫に礼を言う事を忘れず、更に良い関係を築こうと積極的に話し掛けた。

そして、菫が以前は蝶屋敷で薬の調合をしていた事、それ故に鬼を見たのは四年前の一度だけである事、歳が二つ上である事など様々な事を知った。


歳について聞いた時、杏寿郎は『敬語を使わなくても良いのだぞ!』と言い、菫を暫く固まらせた。


そうして会話を重ねるうちに、菫も杏寿郎に歳の離れた弟がいる事、柱の皆を尊敬している事を知り、更に初めての任務と柱になった時の任務についても教えてもらった。


「…やっぱり…すごい……。」


菫は十二鬼月との闘いについて聞いた時、初めて堅い空気を崩して目を輝かせた。

と言ってもその目は長い前髪で隠れてしまっている。

それでもその口調が新鮮で杏寿郎はにっこりと微笑んだ。


杏「うむ!手強い鬼だった!味方の助けあっての勝利だったな!」


杏寿郎は謙る事も驕る事もなく、ただ気持ちが良い程に正しく物事を捉える男だった。

なので菫はこういった場面で『そんな事はございません。』と言わないようになった。


杏「しかし、薬の調合を行うのも鬼殺と等しく大事な仕事だ!俺は勿論君の事も尊敬している!」


それを聞くと菫は目を丸くして固まってから勢い良く頭を下げた。

その様子を見て杏寿郎は可笑しそうに笑う。



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