第10章 二日目の日常
すると二人は秘密が何なのか気になりつつも急いで頭を上げさせた。
多「照子、あまり菫さんを困らせてはなりませんよ。」
その言葉に照子は再び頬を膨らませる。
その幼さが妹を思い出させる為、菫にはとても好ましかった。
「教える事は出来ませんが、困ってはおりません。では今日はこれで失礼しようと思います。」
そう言うと昨晩同様、菫は照子の頭を撫でてから店を出た。
菫が帰って程なくすると、太陽が昇り切った時間に杏寿郎が起床した。
杏寿郎は顔を洗うと菫を探して居間へ向かう。
すると膳が綺麗に並べてあった。
それと同時に杏寿郎の腹が鳴る。
杏「本当に有り難いな。」
そう言うと杏寿郎は台所を覗く。
そして調理道具を洗っている菫に眩い笑顔を向けた。
杏「おはよう!大変美味そうな食事だ!」
菫は手拭いで手の水気を取ると杏寿郎に向かって頭を下げる。
「お早うございます。」
杏「華も生けてあるな!部屋の雰囲気が明るくなった!」
「お気に召して頂けて嬉しく思います。」
杏「うむ!ありがとう!!」
杏寿郎は聞き心地の良い声で礼を言うと膳の前に戻って箸を持った。
杏「うまい!!」