第39章 無限列車―其の壱
(……この鬼は見た事がある。でも私が見た鬼は杏寿郎様が斃した一体だけだった筈では……。)
魘「俺の名前は魘夢。こうして自己紹介をするのは君が思った通り二度目だよ。五年ぶりだね、お嬢さん。」
菫は何時の間にか近くの机の上にあった日輪刀に手を伸ばした。
「私に鬼の知り合いなんていない。出任せだわ。」
魘「つれないなあ。俺は君に悪夢を見せたくてずぅーっと覚えていたのに。」
「何を、」
魘「君にはご立派な覚悟なんてない。家を出た後、取って付けたようにその場凌ぎの、軽く、意味の無い覚悟をしたんだよ。」
魘夢は言葉を切るとにこっと笑った。
魘「だから盲目に炎柱を敬愛していたんじゃないの?可哀想だよねぇ。言い訳作りの為に利用されて。本当に敬愛されていた訳でもないのに。」
菫は杏寿郎を哀れむ言葉を聞くと頭にカッと血が上って剣を振り下ろした。
それを軽々と避けて魘夢はニタァと笑う。
魘「やっぱり俺の読みは正しかったなぁ。見るからに非力な娘が十六から鬼殺隊を目指すだなんて…上手くいく筈がない。」
「何がしたいの。」
戦いもせず、ただ喋り続ける魘夢に菫が苛立った声を出した。