第10章 二日目の日常
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鬼殺隊士に休息を与えてくれる太陽が元気に街を照らすと、杏寿郎は菫が新しく沸かした風呂で体を清めてから布団に入った。
菫は朝から外出して屋敷での生活に足りない物や、大量の食材を買い込んだ。
そして洗濯物と眠っていた布団を干し、屋敷中の掃除を終え、屋敷周りも掃き終わると、再び外出して自腹で華を買って生けたり、杏寿郎の為の薬草を買ったりした。
照「昨晩のお姉様は少し冷たかったわ。」
勘定中、店番をしていた照子はそう言って頬を膨らませた。
菫はそれを見ると柔らかい笑みを浮かべて目元を緩ませた。
「特別急いでいたのです。私は照子さんの事を好ましく思っていますよ。」
そんな会話をしていると昼休憩をしていたと思われる進一が店先に出て来た。
進「……照子?その男性と知り合いなのか。親しげな声が聞こえたが…。」
照「え……?」
照子はそう言われて漸く菫の格好を見つめた。
そして大きく目を見開く。
照「菫お姉様…いつの間にこんな逞しいお体に…?」
進「菫さん…だと?」
菫はその反応を見て、初めて変装した姿でちぐはぐな声を出してしまったのだと気が付いた。