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【鬼滅】敬愛と情愛【煉獄さん】

第10章 二日目の日常



菫はそれがどういった意味を持つのか気になりつつも、無言で杏寿郎の湯呑みに茶を注ぎ足した。

すると杏寿郎は箸を止め、口角をきゅっと上げた一見微笑んでいるように見える表情を浮かべながら菫を見つめた。


菫はその視線に気が付くと急いで急須を置き、綺麗に座り直した。


「何か至らない点がありましたら、どうぞ仰って下さいませ。」


その言葉を聞くと杏寿郎は表情を変えずに箸を置いた。


杏「脇腹が痛むのか。動きがぎこち無いようだが。」


菫は固まった。

正直に全て話せば身の上がばれてしまいそうであったし、何より体を気に掛けてくれたその優しさに心が震えたからだ。


一方、杏寿郎は答えない菫をじっと大きな目で観察するように見ていた。


杏「言い難い事なのだろうか。真面目で気遣い屋の君の事だから、俺に心配や迷惑を掛けまいとしているのだろう。」


杏寿郎の目が更に大きく開く。


杏「…屋敷の手入れをしている時に痛めてしまったのか、誰かを庇っているのか、はたまた別の理由なのかは分からないが。」


菫はただ『お気になさらないで下さいませ。』と言って頭を下げたが、杏寿郎は二つ目の心当たりを口にした時に、僅かに覗く菫の瞳孔が開いたのを確認してしまった。


杏「…そうか!探りを入れてしまい、すまなかった!」


杏寿郎は相変わらず一見笑顔に見える表情でそう言うと、箸を持ち直した。



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