第30章 三人の新人
天「なに、お前も腹減ってんの?継子になると腹まで似んのか?」
杏「甘露寺に変に絡まないでやってくれ!」
あれ程夢中に食べていたにも関わらず、杏寿郎は笑みを浮かべながらも食べるのを中断した。
一方、 "変に" 絡んだつもりはなかった天元は眉を寄せた。
蜜「煉獄さん…宇髄さん…。あの…、」
蜜璃は間に挟まれてあわあわとし、しのぶは静かに二人の様子を見ている。
天「なんだよ、普通の交流だろ。」
杏「君の事は尊敬している!だが女性が絡むと厄介になる事も知っている!!」
天元はその言葉に更に眉を寄せた。
天「はぁ?女癖が悪いみたいに言うんじゃねーよ。」
杏「そうまでは言っていない!ただ厄介だと言ったんだ!」
不服そうな顔をする天元に対し杏寿郎は口角を上げたままであったが、纏う空気は若干ピリついていた。
天「厄介って何だよ。少しお前を揶揄っただけだろ。清水には何もしてねぇぞ。」
杏「許可なく菫さんの頭巾を取ったろう!その後、品定めするような目を向けていたのも覚えている!」
天「そんな事してねーよ!」
し「していましたよ。確かに許可なく頭巾を取り上げていました。」
しのぶは許せるのはここまでだと思うと口を挟み、新しい仲間の前で言い争いをした二人に不穏な笑みを向けた。
天元も杏寿郎もその静かな迫力に閉口する。