第30章 三人の新人
小「そうか。」
槇寿郎の現在を知らない小芭内は穏やかな目をしてそう呟いた。
その会話を聞いている者が居た。
よく聞こえる耳を持つ天元だ。
天(…煉獄はただ強い奴なのか危うい奴なのかよく分かんねぇな。)
天元はそう思うと心底嬉しそうな杏寿郎の顔を見て目を細めたのだった。
そうして二人の新入りを迎えて賑やかになっている庭へ、今度は一人の少年がふらっと入って来た。
その髪の長い少年は隊服を着ている。
杏「…隊士だな。」
そう呟いてその少年に近付こうとした時、屋敷の方からある気配が庭へ近付いてきた。
杏「!」
その気配に気が付いた残りの者達も、杏寿郎と同じく黙って片膝をつき頭を下げた。
そこへ間もなく現れたのはやはりお館様である産屋敷耀哉だ。
耀「皆、集まってくれてありがとう。」
耀哉はそう穏やかに言うと、驚く皆に九人目の柱、時透無一郎を紹介したのだった。