第30章 三人の新人
そうしていると杏寿郎の元に伊黒と呼ばれた男が寄ってくる。
伊黒は杏寿郎の髪と目の色に驚いた様子だった。
杏「初めまして!炎柱の煉獄杏寿郎だ!君がもう一人の新しい柱だな!!」
伊「…ああ、俺は伊黒小芭内だ。」
杏「そうか!伊黒だな!よろしく頼む!!」
小芭内はすぐに返事をせず、少し間を開けてから再び口を開いた。
小「先代はご健在か。」
杏寿郎の目が大きく開く。
そして、目の前の男が自身の姿に父親を見たのだと悟った。
杏寿郎は本物の笑みを浮かべた。
杏「うむ!少し元気を無くされているが怪我もしていないし、病も患っていないぞ!」
それを聞いた小芭内の纏う空気が柔らかくなる。
杏寿郎はそれを嬉しく思った。
杏(父上が彼を救ったのだろうか。柱になったと知れば父上は喜ばれるだろうか。)
父親との関係について訊きたい気持ちは勿論あった。
しかし、鬼狩りであった槇寿郎と出会ったという事は、その時鬼に襲われたという事だ。
それ故に杏寿郎はデリケートであろう質問をする事が出来なかった。