第29章 煉獄様の誕生祝い
杏「……無邪気な顔をして言うものだから少女なのかと思った。」
「………え…?」
菫は杏寿郎が何を言っているのか分からず、必死に理解しようと眉を寄せた。
杏寿郎はそんな菫の前に膝をつく。
杏「君だろう!俺の髪を褒めてくれたのは!あの夜俺の髪を梳いてくれた!!」
菫は目を見開き、嬉しそうに言う杏寿郎を見つめながらゆっくりと頷いた。
杏「そうか!!」
「あっ」
杏寿郎は二人の出会いを自身が覚えていた事に舞い上がったまま菫を抱き寄せた。
「……………。」
スキンシップは増えても抱き締められたのはまだ二度目だ。
それ故に菫は思い出して貰えた事を嬉しく思う気持ちと、抱き締められた事による動揺とで頭がパンクしそうになってしまった。