第29章 煉獄様の誕生祝い
圭「他に触れられたりはするのか?」
その問いにも菫はこくりと頷いた。
「慣れてないと仰られる割に、言葉を交わす度に触られます。頭を撫でられたり、頬を撫でられたり、肩を掴まれたり…。慣れるのに時間が掛かるだけで、触れ合う事自体はお好きなのでしょうか。」
そう言って菫はうーんと唸る。
圭太は杏寿郎の積極さに笑みを漏らした。
圭「でもその感じだと菫も嫌って訳ではないんだろう?」
「嫌では…ないけれど、なんだかいけないような気がしてさり気無く手を退かしているわ。」
菫に "さり気無く" が出来ると思えなかった圭太は杏寿郎に同情した。
圭「嫌じゃないなら退かすな。きっと炎柱様は傷付いているぞ。」
「えっ」
菫はショックを受けた顔をすると、『分かりました。』と頷いた。
圭「よし。良い子だ。……じゃあ、お守りについて話そうか。」
「はい!」
そうして二人は漸く目的の話題に戻ったのだった。
話し合った結果、菫は自身の着物を拵えた反物を使って御守りを作る事にした。