第29章 煉獄様の誕生祝い
「煉獄様は…もっと相応しいお相手が、」
圭「炎柱様本人が選んだんだ!選ばれた人こそが唯一の相応しい女性なんだよ!」
「……………。」
菫はそこまで言われると俯いた。
圭太はその様子を見て『あと少し押せば折れるのではないか。』と感じた。
しかし―――、
「圭太さんに言ってなかった事があるの。」
圭「…え?」
菫はスッと顔を上げると真っ直ぐ圭太の瞳を見つめた。
その瞳の意思の強さに圭太は気圧されてしまった。
「私が今まで結婚を遠ざけてきたのは勿論、蓮華の事があったから。でも、それを抜きにしてもまだ理由があるんです。」
圭「……他の、理由?」
菫は頷く。
「実は少し前に蓮華から手紙を貰ったんです。そして今幸せなんだと知ったわ…。それと同時に、もう一つの理由がどれだけ大きく譲れない物なのかも痛感してしまった。」
圭「…理由って何なんだ。」
圭太は重い空気に呑まれながらそう問うた。
対して菫の瞳は途端に迫力を欠いた。
「強く誓ったんです。……煉獄様を慕って生きていくと。」
圭「……。」
圭太は予想外の返答にぽかんとしてしまった。
圭「それって…お前…、だったら良いじゃないか……。」
その言葉に菫は再び俯いた。