第29章 煉獄様の誕生祝い
(確かにそうだわ。お箏についても圭太さんには話した事なんてない筈…。)
圭「で、どう思ったんだよ。」
圭太がそう問うと菫はまた眉を寄せる。
「簪に関しては勘違いだったようですが、圭太さんの反応を見て分かった事があります。煉獄様から何かお話を聞いていたのではありませんか?」
圭太はやはり表情を固くさせた。
菫はそれを認めると困った様に眉尻垂らして溜息をついた。
「…さり気無く仲を取り持とうとしても無駄です。煉獄様からはっきりと想いを告げられました。」
それを聞いた圭太の口が開く。
杏寿郎がそんなにせっかちだとは思っていなかったのだ。
圭「な、えっ、お前は…、」
「勿論お断り致しました。今は元の関係に落ち着いています。」
圭太は再び固まった。
菫はそんな圭太を置いて、『御守りにお薬を入れようかしら。』と言いながら本を手に取った。
圭「…いやいやいや、待てよ、待て!」
やっと動いた圭太が何かを強く否定した為、菫は不服そうな顔を向けた。
「何でしょうか。」
圭「何じゃない!何で駄目なのか分からない!炎柱様程の好青年はこの世に何人と居ないぞ!!」
「一人だけです。」
圭「それなら選べば良いだろ!」
何度もした恋や結婚の話。
菫は圭太が自身の為を思って考えてくれているのだと分かってはいたが、どうしても受け入れられなかった。