第26章 逃避
杏「宇髄!!」
そう叫ぶと鬼本体と天元の間に入る。
杏「何かをしたいのだろう!俺が時間を稼ぐ!!」
天「……ああ。」
天元は杏寿郎の戦いぶりを軽く見ただけで杏寿郎が柱に相応しい男であると感じた。
天(あいつ怪我してんのに…俺より三つも下でこれかよ。)
天「…煉獄!!下がれ!!」
天元はそう言いながら前へ出て火薬玉を放る。
そして刀で擦って爆発させた。
それを見た杏寿郎は口を薄く開いて目を見開く。
杏(…宇髄の剣技は随分と美しいな。まるで花火のようだ。)
一度天元の剣技を見た杏寿郎は天元が火薬玉を使いたい時に上手く距離を取り、天元に合わせた戦い方をした。
天元はその無駄の無い動きと、順応が早さに感心した。
天「お前良いな!!派手に気に入ったぜ!!!」
杏「ありがとう!!」
杏寿郎は口角を上げながら気持ちの良い返事をした。
――――――
「………………はぁ。」
―――時を遡ること二時間前、
杏寿郎と天元を見送った菫は玄関の戸を閉めると溜息をついた。