第26章 逃避
天「だからお前は後ろだっつってんだろ!」
杏「む、すまない!前を歩く癖が付いているようだ!!」
杏寿郎は再び天元の後ろにつくと鬼の気配を探った。
そうして天元の耳を頼りに進むこと三十分。
やっとそれは近付いてきた。
天「行くぞ、煉獄。ついて来い。先輩の戦い方をド派手に見せてやるよ。」
―――
戦いの場は元から鬼の細工が無数に張り巡らせてある非常に不利な場であった。
その植物が生い茂る足場は鬼の体の上とも言える。
天「ちっ、下弦の癖になかなか首を斬らせねぇ…!この場所厄介だぜ!!」
杏「十二鬼月相手にその様な悪態をつく余裕があるとは流石だな!!」
杏寿郎は口角を上げて苛立つ天元を振り返った。
攻撃は四方からやって来る。
二人は背中を合わせ、杏寿郎は数が多く力の弱い攻撃を捌き、天元はそれに加えて鬼本体からの攻撃を弾いていた。
天「今の柱は下弦の鬼と複数戦った事がある奴も少なくねぇぞ!…ま、上弦に会った奴は漏れなく死んだがな。」
そう言いながら天元は手を下に遣り、普段の雑魚鬼には使いもしない火薬玉を取り出そうとした。
しかし、取ろうとすると鬼の速い攻撃がやってくる。
天「……ちっ」
杏(…この任務は彼を見て柱の在り方を学ぶ為だけでなく連携を学ぶ為でもあったな。)
ちらりと天元の様子を見た杏寿郎は何かをしたいのだと察し、前へ出る事に決めた。