第25章 大きな一歩
天「良い子にしてって…、あいつ何歳?落ち着いて見えるけど。」
杏「二十歳だ!!」
天「お前より歳上じゃねぇか。…っていうか俺と一つしか違わないのな。」
杏寿郎はそう言われて初めて、天元が菫より歳上の男である事に気が付いた。
杏(宇髄と清水は二十一と二十で、俺は十八か。)
改めて認識すると面白くないようなもやもやとした感情が湧いてくる。
隣を走る天元はその感情が漏れている杏寿郎の顔を楽しそうに覗き込んだ。
天「随分と分かり易い顔してんな。それとも元々そんなもんだったか?何せまだ十八のお子サマだからな。」
杏「…そういった言葉を使うと周りに良くない誤解をされるぞ、宇髄。現に俺は今、少々良くない気分になった。」
杏寿郎はそう言うと少し心配そうな顔を天元に向けた。
対して最初から揶揄ったつもりだった天元は毒気を抜かれて目を丸くした。
天「いや……あ、うん。」
杏「だが君の言う通りだな。俺は男なのに彼女より二つも下だ。子供…と言えるのかも知れない。」
大人しく聞いていた天元ははたと頷くのを止めるとバッと杏寿郎の方を向いた。
天「ちょっと待て!何、お前自覚したの!?あんなに頑なだったのに!?」
杏「したぞ!!俺は清水が好きだ!!!」
そう言ってにっこりと笑う杏寿郎に天元は再び呆気に取られる。
そして大きな溜息をつくと『本当に半月で何があったんだよ。』と呟いたのだった。