第25章 大きな一歩
天「へえ…。半月で随分と進んだじゃねーか。」
杏寿郎は用を言わない天元に眉を寄せた。
杏「玄関先で済まない話だろうか。」
天元は杏寿郎が冷静さを取り戻すとつまらなさそうな表情を浮かべたが、すぐに笑みを取り戻して頷いた。
天「お前の鴉はまだ帰ってきてねぇのか。柱二人の合同任務だぜ!」
それに杏寿郎は目を丸くする。
杏「君と合同なのか!!」
そう言ったところでタイミング良く要が玄関前に舞い降りた音がした。
杏寿郎がすぐに玄関へ降り戸を開けてやると、要は杏寿郎の肩に乗る。
要「オ館様ノ元ヘ急ギ集マレ!音柱様ト共ニ!!」
何の用かは言わなかったが、二人だけ集まるとなれば確かに合同任務の可能性が高い。
天「俺に様付けするあたり頭が良いな、お前の鴉。」
杏「要だ!よく仕えてくれている!」
杏寿郎はそう言うとポケットから豆の入った袋を出して要に褒美を与えた。
杏「それより至急との事だ!すぐに向かおう!!」
天「おう。清水、お前のご主人サマ借りてくぞ。」
「…は、はい!」
返事をした菫は強張った顔をしていた。
菫がそんな顔をしていたのは、柱の合同任務が只事ではないと思ったからだけではない。
杏寿郎が利き腕の傷を完治させる前に蝶屋敷を出てしまっていたからだ。