第25章 大きな一歩
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杏(一体……、)
杏寿郎の喉がごくりと音を立てる。
杏(一体……いつ離せば良いのだろうか…!!)
杏寿郎が菫の手を握ってから彼此三十分が経とうとしていた。
初めは嬉しかった菫の染まった頬も、今や真っ赤になってしまっている。
杏(これ程赤くなるとは…倒れてしまうのではないだろうか。俺の汗で手も濡らしてしまっているだろう。)
しかし手を離すタイミングがまるで分からない。
そうして杏寿郎の頬にも汗が伝った時――、
天「煉獄ー?おーーい。居ねぇのーー?」
玄関から思わぬ来客の声がした。
杏寿郎はすぐに手を離すとバッと立ち上がる。
「あっ」
杏「宇髄か!!!」
菫は手伝いの自身を置いて駆けて行った主人を慌てて追った。
天「…………お前ら何してたの?」
天元が見つめる先の杏寿郎は不自然に汗ばみ、菫は顔を真っ赤にしている。
天元の問いに杏寿郎も赤面した。
杏「別に何でも良いだろう!!それより何の用だ!!!」
天元は耳を塞ぎつつ面白がるような笑みを浮かべる。