第24章 新たな協力者
そして、色は藍色、花はカキツバタが一番好きなこと、動物なら猫が好きなこと、運動は苦手で音楽が好きなこと…様々なことを知った。
杏「カキツバタか。時期は俺の誕生月の頃だな。」
杏寿郎は些細な接点に小さく微笑んだ。
蓮「冬の今ですと青い花は難しいかも知れませんね。」
蓮華はそう言いにくそうに伝えた。
杏寿郎はその言葉に眉尻を下げて残念そうに笑う。
杏「うむ!春までお預けだな!!答えてくれてありがとう!!」
そう言って質問タイムを切り上げると、杏寿郎はすっきりとした顔でバッと立ち上がる。
杏「失礼!!」
ただそれだけ言い、目を丸くしている蓮華を置いて隣室に繋がる戸へ向かった。
蓮「えっ」
蓮華が戸惑っている間に杏寿郎はドアノブに手を掛ける。
―――ガチャッ
そして、戸の目の前で聞き耳を立てていた男ににっこりと微笑んだ。
杏「今までの会話、全て聞いていたな!誰に伝えるつもりだ!!」
男「あ…、」
男はその場に尻餅をついた。
杏寿郎はそんな男に手を差し伸べる。
杏「君の雇い主は清水菫か?」
蓮「え……お、お姉様が…?」
男は急いで首を横に振ったが、杏寿郎は男の瞳が一瞬揺らいだのを見逃さなかった。
杏「そうか!だが俺が来た事は伏せてくれ!!清水には自身の力で妹さんと仲直りしてもらいたい!!」
蓮華は男がしっかりと否定しているのを見ていたが、杏寿郎の迷いの無い言葉を自然と信じた。
蓮「…お姉様が、私の事を…知ろうとして…。」
そう震える声で呟いた後、ハッとして男の前に膝をついて座った。
男「なっ」
蓮「あの噂だけ伝えてはなりません!蓮華はもう約束を守れますし、嘘をついて周りを困らせたりいたしません!良い子になったとお伝え下さいませ!!」
杏寿郎はしっかりして見える蓮華が、昔はやんちゃで姉の菫を困らせていたのだと知り、声を上げて明るく笑ったのだった。