第24章 新たな協力者
蓮「…あ、貴方と出会われてからしっかり者のお姉様の様子がガラッと変わりました。ふわふわとしていて…恋をしたのだと皆言っていたわ…。その後姿を眩ませてしまったので駆け落ちしたのではと噂になったんです。それも、」
蓮華はちらりと気まずそうな視線を送る。
蓮「…姉には小さい頃から決まっていた大層な家柄の許婚様がいらしたのです。それ故にその噂はとても大きくなりましたわ。」
杏「…そうか。彼女は大事になると分かっていながら家を出たのだな。そして、あの清水がその様な事をした自身を許す筈がない。」
蓮「……だから、なのでしょうか。」
蓮華は俯いた。
杏寿郎は蓮華から視線を外すと、顎に手を遣って少し眉を寄せる。
杏「なかなか大変な事態になっているな。清水が此処へ話し合いに来ようものなら問答無用で嫁に行かされそうだが、何故霞ヶ関へ行くと良いなどと言ったのだろうか。」
そう半ば独り言のように言うと、蓮華はハッとして姿勢を正した。
蓮「きっとそれは私の噂を聞いたか、私の姿を見たからですわ。実はその許婚の御方は近々私の旦那様になるのです。それで…、」
蓮華は一度口を閉じると、真剣に聞いている杏寿郎へ若干赤らんだ顔を見せた。
蓮「…その噂とは、恐らく…………仲が大変睦まじい、というものですわ……。」
杏寿郎は予想外の展開に少しだけきょとんとした。
その表情を見た蓮華は真っ赤になる。
蓮「お外でべたべたとした記憶は……、その、あまりありません…!ただ、そういった噂が…あくまで噂が流れているので…っ、おそらくは…!」
その慌てふためきようが菫の珍しいそれと重なって見え、杏寿郎は明るく大きな笑い声を上げた。
その声があまりにも嫌味なものを含まない清々しいものであった為、蓮華は恥を忘れて杏寿郎を見つめた。