第5章 薬草調達の任務
少女「ではもっと砕けた話し方をしても良い筈です!私の事は是非、照子とお呼び下さい!」
そんな事を言う人懐こそうな照子を両親は嗜めた。
男「申し訳ありません。躾が行き届いておらず…。ですがこの子の言う事も分かります。私達に気を遣わないで下さい。」
「それならただの小娘である私にも敬語を使わないで下さいませ。」
そう言われると男は困った様に黙り込んだ。
すると今度は女が前に出る。
女「ではお言葉に甘えて貴女の事を娘のように思って接しましょう。ですが敬語を崩すのは如何なものかと…。代わりに菫さんと呼ばせて頂いても構いませんか?」
その折衷案に菫は素早く頷いた。
男「偉くパキパキとしてしっかりした娘さんですね…この子も見習ってくれると良いのですが…。」
照「あら、お父様ったら私の事をよくご存知でいらっしゃらないのね。それより菫様、」
照子は父親の発言をそこまで気にしていないようだった。
菫は声を掛けられると少し首を傾げた。
「何でしょう。」
照「菫お姉様とお呼びしても良いでしょうか!私、昔から姉妹に憧れていたのです!」
夫婦は再び娘を嗜めたが菫は快諾した。
「一向に構いません。私には妹がいたのでそういった存在は好ましいです。」
そう言うと菫は初めて柔らかい笑みを浮かべた。
その笑みを見た三人は目を丸くして言葉を失った。