第21章 右腕の代わり
―――
一方、杏寿郎は哲夫から鬼の情報を得て闘いに備えていた。
その鬼の情報というのは、 "武器も血鬼術もよく分からない" という情報であった。
杏(二人揃ってそう言うのであれば無駄な情報ではない。それだけ速い鬼なのだろう。それに…、)
杏寿郎は哲夫と透の負傷した手と頬に目を遣る。
杏(とても細い傷だ。距離を詰められなかったと言っていたので、恐らく鋭利な飛び道具を使うのだろう。)
そう考えを纏めると、二人の隊士にそれを伝える。
透「なる、ほど…。」
哲「目にも止まらぬ速さの飛び道具…。どうやって距離を詰めれば…。」
士気が下がってしまった二人に杏寿郎は明るい笑みを向ける。
杏「安心しろ!だから柱である俺が来た!!勿論君達にも活躍して貰うが、俺が君達を死なせはしない!!」
その言葉を聞いた二人の顔に血の気が戻ってくる。
杏寿郎は合同任務の度にこの調子であった為、知らないうちに慕う者を増やしていっていた。
二人の隊士は気合いを入れ直して互いの顔を見ながら頷き合う。
そして、杏寿郎の役に立とうと決心したのであった。