第20章 触れる理由
「……身の上は隠して生活したいのです。引き戻されれば私は煉獄様に二度とお会い出来なくなります。それどころか、下手したら父は鬼殺隊を…、」
鬼殺隊は国家公認の組織ではない。
それどころか廃刀令の下った世で隊士達は刀を持ち歩いている。
危険と見なされて取り締まられてもおかしくなかった。
照「それは分かりますが…、何故身の上が明らかになった後にお逃げになられたのかを聞いているのです!あのままもう二度とお会い出来なくなるのではと怖くなりました!」
「それは…そのつもりでしたので…。」
菫がぽかんとしながら本心を述べると、照子は眉を寄せる。
照「私、秘密を言いふらしたりしません!どんなに偉いお方にどちらにいらっしゃるか、いつ見掛けたか、どうしていらっしゃるのかと訊かれても、お姉様がお困りになる事ならぺらぺらと喋ったりはしません!」
それを聞いた菫は少し固まった後、照子の頭を撫でた。
「すみません。照子さんはまだ幼いので秘密にする事が困難かと思いました。」
照「ひどいです!!!」
菫は怒る照子の頭を撫でながら、どこかで照子を十二歳の妹のように思っていたのだと悟った。
(あの子も今は十六歳になる。きちんと約束を守れる子になったのかしら。嘘をついて人の反応を楽しむ癖は直ったのかしら。もう嘘泣きをする事はやめれたのかしら。)
そう考えていると、菫は妹はなかなか悪い子だったのではないかと首を傾げた。
照「聞いていらっしゃいますか!!」
「………すみません、聞いておりませんでした。」
それから菫は夫妻が出てくるまで照子にお説教されたのであった。