第4章 働きぶり
杏「いや!想像以上に君が有能で感心していたところだ!!早速頂こう!!」
菫は杏寿郎の言葉に安堵しながら頭を下げた。
杏寿郎の予想通り菫はただ静かに部屋の隅に控えていた。
杏(一緒に食べて貰って構わないのだが、彼は全力で断るのだろうな。…だが、一応訊いてみよう。)
杏「君も一緒に食べて構わないのだぞ。」
そう言って杏寿郎が自身の隣を見遣ると菫はぎょっとしたように体を揺らしてから固まってしまった。
杏寿郎はそこまで慕ってくれている事が面白く思えて笑い声を上げた。
杏「暫くは一緒に茶を飲むことで慣れて貰おう!!」
「……炎柱様が望まれるのであれば精進致します。」
相変わらず堅苦しく生真面目な様子に杏寿郎は再び笑った。
―――
杏「では行ってくる!!」
「お気を付けて行ってらっしゃいませ。ご武運を。」
菫は杏寿郎を信じ切っている為か見送りの際はさっぱりとした空気を纏っていた。
杏寿郎はそんな空気を好ましく感じながら微笑みを浮かべて走り出した。
杏(…彼の好物は何だろうか。見上げた仕事振りの礼も兼ねて土産を買って帰りたいものだが訊きそびれてしまった。)
『今度はもう少し知ってみよう』と思うと鬼の居る地へ向かう足に力を込めた。