第20章 触れる理由
「私の事より、照子さんはご自身のご結婚について考えて下さいませ。私は早く幸せになった照子さんを見たいと思っております。」
照子はその言葉に違和感を感じた。
照「なんだか他人事だわ。お姉様は結婚に興味が無いのですか?」
「ありません。」
菫はきっぱりと言いながら薬草を風呂敷に包んでいく。
照子は菫がもう行ってしまうのだと悟って風呂敷から商品を抜いて机に並べ直した。
「照子さん、このままでは私は一生此処から出られません。」
照「待って下さい!せめてこのお話だけでも…!」
菫は意外にもそんな風に我儘を言われる事に弱い。
負けを悟って手を止めた。
そして、自身が鬼殺隊に入った経緯と、妹に押し付けてしまった事、今は敬愛する主人の元で働けて満足している事を話した。
照「……波乱万丈でしたのね…。」
そう言う照子の瞳は輝いていた。
こういった非日常的な話に弱いのだろう。
そして、少し首を傾げ、考えるように伸ばした人差し指の先に顎を乗せた。