第20章 触れる理由
杏「…そうか!気を付けていると知って安心した。華を頼む!」
「はい。お任せ下さい。」
菫は頭を下げると襖に手を掛ける。
「ゆっくりとお休みになられて下さいませ。」
杏「うむ!」
―――タンッ
襖が閉まると体を横たえて目を瞑る。
杏(家出か。だが妹が結婚する事は知っていたな。妹とだけ連絡を取っているのだろうか。血眼とは…どのような両親なのだろう。)
そんな考えが過ぎったが、考えても答えが出ない為に頭を空にして息を深く吐いた。
そして、程無くして眠りに就いたのだった。
「御免下さい。」
そう言って笠を取った店、つまり信用を置いている店とは藤井の薬屋であった。
声を掛けるとすぐに照子が飛んでくる。
菫はそれが微笑ましくて堪らない。
照「菫お姉様!…お姉様、」
「…如何かされましたか。」
菫は首を傾げた。
照子は目をぱちくりとさせる。