第5章 三ツ谷隆くんに愛されたい①
私はどこにでもいる平凡な女で。
23歳の未だ処女だ。
そんな私に天変地異がひっくり返るような出来事が起こった。
「…えっ?…誰?…」
朝起きると知らない男とベッドにいた。
ぐるりと辺りを見回す。
ゴージャスなホテルにいるようだ。
布団をめくると全裸だった。
下半身に少し痛みが走る。
夢じゃない。
私、この人とエッチしちゃったんだ…
「どうしよう…」
頭を抱えていると、「…んん…」と男性が身動ぎをする。
「あれ?…おはよう。もう起きてたんだ?」
「………はい…。あの…私…お先に失礼します!」
「えっ?あっ、おいっ!」
30秒で着替えを済ませ、“バタンッ”とホテルの部屋を出る。
今更だけど、彼には見覚えがあった。
“三ツ谷隆”
有名なファッションデザイナーだ。
何てことだろう。
何でそんな有名人が私とベッドにいたのよ…
私はホテルから出ると、急いでタクシーを拾う。
時計を見ると、出社時間が迫っている。
着替えもせずに、そのまま会社へ向かった。