第4章 三途春千夜くんに愛されたい
ある日の放課後。
家路を歩いていると、見てはいけないものを見た。
「何、逃げてんだよっ!」
「うわわぁぁっ、許してっ___」
“パシュッ”
裏路地から飛び出してきた男が、突然倒れ込んだ。
その頭部からは血が流れ出ており、辺りは血溜りを作っていた。
地面に横たわる男性と目が合う。
虚ろな目。
額には撃ち抜かれた痕がある。
この人…
…生きていない…。
何?
犯罪現場?
急に身体がガタガタと震え出す。
足がすくんで、へたり込んだ。
人が死んだ。
殺された。
逃げなきゃ。
人がいるところに行かなきゃ。
力が入らない足で、ズルズルと後ずさる。
ここから一刻も早く立ち去らなきゃ。
本能のままに逃げようとすると、ドンッと何かにぶつかってしまう。
後ろを振り向くと、靴が見えた。
冷や汗が流れる。
恐る恐る見上げると、口元に傷のある男がニヤついていた。
男は口先に指を当ててシーッと言う。
「スクラップ。されたくねえだろ?」
私は恐怖から声が出ず、コクコクと頷いた。