第2章 高尾和成【黒バス】
「お前らほんと仲良いな」
「宮地先輩おつかれさまです。そう見えますか? 嬉しいです」
「鵲、マフラーちゃんと巻いとけ。風邪ひくぞ」
「え、後ろ、外れちゃってます?」
「やってやるからあっち向け」
開きっぱなしだったロッカーを閉め、忘れ物がないか確認して部室を出ると、あやめのマフラーに手を添えて優しく笑っている宮地先輩がいた。
ずん、と胸に鉛が落ちたような感覚。
「ありがとうございます、先輩!」
くるりと宮地先輩の方を向いて笑うあやめ。
あー、くそ。イライラする。
すぐにわかった。あれはただマフラー直していただけだって。
だけど……。
あやめは、俺の彼女、なのに。
「あ、高尾くんおかえりなさい!」
「……おう」
「帰るぞ、あやめ、高尾」
「先輩、ロッカースンマセンした! お先失礼しまっす!」
「おう、気をつけてな」
「おつかれさまでした、お先に失礼します!」
律儀に先輩らに挨拶しているあやめの姿はいつも通り。いつも通りなのに。
その笑顔が、他のやつに向いていると思うと、イライラする。別にあやめに他意があるわけじゃないのはわかっている。いつも通りだ。いつも通りなのに、なんか今日は……。