• テキストサイズ

短編集

第2章 高尾和成【黒バス】


「どうした?」
『あの……今日、元気、なかったかなって、思って……。その、思い違いなら良いんだけど、何かあったなら、その、良ければ話して欲しいなって、思って……っ』
「っ」

 バレてる。なんでだ。俺今日いつも通りだったろ。
 なんでわかるんだ?
 なんでバレてるんだ?

「そんなこと、ない、けど……なんでそう思ったの?」
『……帰りの時、いつもとなんか、様子が違ったような気がしたから……。もしかして、私、高尾くんの気に触ること、しちゃったかなって……もしそうだとしたら、あの、』
「ちがう」
『え?』
「それは違うよ。ごめん、あやめ。不安がらせて。でも違うんだ。あやめが何かしたわけじゃなくて、どっちかっつうと俺の問題で……」
『高尾くんの?』
「……みっともねえけど」

 あーくそ、仕方ねぇよな。

「嫉妬、ってやつ? 真ちゃんや宮地先輩に、触れられてるあやめを見て、嫉妬、した」
『え……』
「わり。今の忘れてくれて良いから」
『や、やだよ、忘れない。だって……だって嬉しいもん。高尾くん、それ、私すごく嬉しい』

 嬉しい?

『高尾くんが、私のこと考えてくれるの、見ててくれるの、すごく嬉しい……から、その……ありがとう』
「俺……割といつもこんなだよ。真ちゃんには毎日嫉妬の嵐だし、今日みたいに、宮地先輩がお前に触れてるのとか、癪に触るし、それに……」
『それに?』
「俺のこと、高尾くん、ってずっと呼んでるの、正直納得いってねえから。真ちゃんは真ちゃんなのに……俺は……」
『名前……呼んでも、良いの?』

 は?

『その、えっと……和成くんって、呼んで良いの……?』
「っ、あ、うん……」
『じゃ、あ、その……和成くんって、呼ぶね』
「お、おう」
『……なんか、ちょっと、照れるね……』

 照れてんのは、俺の方だっての。
 急に名前を呼ばれて、胸がざわつく。うわ、心臓の音、やばい。

『これからは、その、和成くんって、呼ぶから、ね?』
「……うん」
『ありがとう、和成くん』
「お礼言うのは、俺の方だわ……マジで……ありがとう、あやめ」
『ね、和成くん』
「ん?」
『明日もまた、一緒に学校行こうね』
「おう」
/ 25ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp