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同期の仲

第5章 傷





──とある護廷十三隊の隊員──


月明かりが無い夜道を手元の灯り一つで行う見廻り。今日は新月。運が悪かった。


決められた区画を廻るだけとは云え、暗闇では自然と神経を研ぎ澄ませてしまう。終わると疲労として押し寄せてくるアレ。


見廻り最中に何か起こるのは稀。瀞霊廷に侵入してくるのは猫や鼠くらいだ。たまに道端で倒れている者がいるが、大体は酒に酔い潰れた者。そういう奴らはそのまま放置するのが正解だ。


見廻りも折り返しの所まで来た。後は来た道を戻るだけ。そう思っていた。


折り返しの道の奥に気配がする。行き止りになっている場所。恐る恐る近付くと、鼻を覆いたくなる臭い。灯りを近付けてみると一人の死神が壁に寄り掛かるように座り込んでいる。様子がおかしい。


「大丈夫ですか?」


身体に手をかけると死覇装が濡れている。触った感じからして雨にあたって濡れたのではないのが分かる。自身の掌を見ると、赤く濡れていた。


「誰か!!」別の見廻りが近くに居るのを信じて声をあげる。


この死神からは魄動を感じる。まだ死んでない。帯の上から肩にかけて死覇装が裂けている。誰にどうやってやられたのか分からない。四番隊に来てもらうか運ばなくては。


どうすることもできずにいると、他の死神が複数やってきた。中には四番隊の者がいたためそのまま託すと、簡単な治療の後、担架で運ばれていった。


その光景を見ていることしかできなかった。


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