• テキストサイズ

これが恋ですか?【DC/風見裕也】

第3章 事件3.刑事2人恋の始まり


「さすが、鋭い所をついてきますね」

カナの質問にそう返した風見は更に続ける

「先程言った通り我々はあなたの事を疑っていませんので容疑者候補ではありません。ですが、参加者の中に容疑者がいるというあなたの予想は間違いないです。もちろんお爺様も含めて」

そんな…と俯くカナの様子は当然だ
自分は候補に上がっていなかったとしても、親族が容疑者の候補の中にいるというのは気持ちの良いものではない
祖父が人を殺めることなんて絶対ないと言おうとしたが、その言葉は逮捕してきた容疑者の親族から聞いてきたものと同じだと気付き言葉を飲み込んだ
誰だって近しい人を疑いたくない、間違いであって欲しいと思うのは当然のこと…でも現実はそう上手くいかず、警察官になってそういった人達をたくさん見てきたから故に口に出せなくなってしまった

祖父を疑うのは心苦しいが、もし本当に人を殺めてしまっていたのならそれこそ放っておく訳にはいかないし、祖父の疑いを晴らす為にも可能性として念頭に置かなくてはならないとカナは気持ちを切り替えた

「…てっきり祖父はそんな事しないと否定するのかと思いました」

「私が極一般的な民間人であればそうしたと思います。でも私はこんなですが、警察官なので…」

俯いていた顔を覚悟して上げれば、目の前の彼とバチッと目と目が合ってしまう
淡々と話していた風見の表情は公安さながらに堅い様子を見せていたが、向けられたカナの視線から強いものを感じ、フッと口角を上げた

「(あ…今の顔…)」

ふと思い出したのは水難救助

『あなたとなら大丈夫な気がします』

そう言われて感じた信頼と安心感、この人とならできるという確信に似たあの気持ち
忘れようとしていたものが蘇ってきた途端、カナの鼓動は速くなる

「あ、あの!私にできることはありますか!?」

「もちろん。それを話す為にあなたを呼びました。星宮カナ巡査部長、あなたに公安から協力を要請します」

カナの目はまん丸に大きく開く
突然の公安からの要請に驚いたのはもちろんだったが、階級で呼ばれたことでこれは本当に正式な要請なのだと緊張が走ったのだ
鼓動は更に加速し、背筋はピンと伸びて動かせない


「こ、公安から…私に…?」


/ 48ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp