万華鏡の姫君1章 〜特級呪術師&最強柱〜【鬼滅】【呪術】
第6章 6章 砕けた硝子の意味
全身に汗をかき、息を切らせながら必死に兄さんの所へ向かう。
少ししてようやく家が見えてきた。
ホッと息をつき、再び足を動かす。
そして家が目前にせまったとき
鳥肌と冷や汗が出てきた。
思い切り壊させた玄関の扉
そしてかすかに匂う血生臭さ
再び心臓が激しく脈打つ
兄さん
兄さん
兄さん!!
固まった体を何とか動かし家の中に入る。
「兄さん!!」
兄さんと化物…いや、鬼の姿を見て思わず叫んだ。
兄さんの右腕が二の腕から下を引きちぎられていて、身体中傷だらけ血塗れ。
そして兄さんに襲いかかろうとしたの口回りにはおそらく兄さんの血がついていた。
こいつが兄さんの腕を…。
つい数刻前にあまねさんに鬼ついて教えてもらったばかりだ。
本当にいるだなんて…。
あまりの衝撃さに息をするのを忘れるぐらいだ。
有「無一郎!!早く逃げろ!!」
【やっぱりまだ餓鬼がいたじゃねぇかぁ。待ってろぉお前の兄貴を喰ったらぁ、お前も喰ってやるからぁ。なんせ餓鬼の血肉は美味だからなぁ!】
無「!!ッやめろー!」
酷い状態なのに僕を逃がそうとしてくれる兄さん。
兄さんはやっぱり強い人だ。
そんな兄さんを気味が悪い笑みを浮かべて喰おうする鬼に、思い切り体当たりをして兄さんを守るように鬼を睨む。
だけど鬼とって体当たりなんて、意味がなくうざったそうにこっちに近づいてくる。
【うるせぇうるせぇ騒ぐなぁ。どうせお前らみたいな貧乏な木こりは、何の役にも立たねぇだろぉ。】
【いてもいなくても変わらないようなつまんねぇ命なんだからよぉ。】
目の前が真っ赤になった。
生まれてから一度も感じたことのない腹の底から噴き零れでるような激しい怒りだった。
その後の事はよく覚えていない。
途徹もない咆哮がまさか自分の喉から、口から、発せられているとは思わなかった。
そして僕はその勢いで鬼を外へ思い切り突き飛ばした。
火事場の馬鹿力とはこの事なんだろう。
普段の僕にはこんな力はない。
強い怒りが原動力になったようだ。
怒りで感情が爆発している僕は、鬼の下へ向かった。