万華鏡の姫君1章 〜特級呪術師&最強柱〜【鬼滅】【呪術】
第6章 6章 砕けた硝子の意味
有一郎サイド
ザクザク
俺は今夕餉の準備をしている。
切っている大根に苛つきをぶつけながら。
長男として上手くやろうとするほどから回りして、どんどん焦りが苛立ちに変わってしまう。
無一郎が心配をして声をかけてくれるが、今は優しく返答する余裕するなくつい苛立ちをだしてしまう。
そのせいか無一郎から話しかけてくることが日に日に減り、今はお互い会話もなく仕事している状態。
ただ普通に話せばいいのにそれすら分からなくなってきた。
絢蘭の事もそうだ。
父さんと母さんが死んだとき何日も独りで外で悩んでる姿を知っていた。
妹としても一人の女の子としても好きな絢蘭が泣いている。
いつもならすぐにでも通っていたけど、俺にもまだ余裕がなかった。
だけど何日もほっとく訳にも行かないから、声を掛けようとそっと玄関の戸を開けた。
そこには
無一郎に
抱き締められている絢蘭の姿があった。
俺は気がついたら隠れていた。
それはいつもの無一郎ではなかった。
兄としての顔ではなく男としての顔していた。
あれは絢蘭が好きだと言う顔だ。
俺は焦った。
まさか無一郎も絢蘭が好きだなんて…
しかも絢蘭も心なしか頬が赤くなってる。
思い込みかも知れないけど、絢蘭も俺に思いを寄せてくれていると思っている。
俺だけに見せる照れた表情とか…。
なのに…。
本当なら俺が絢蘭を抱き締めているはずだった。
早く行動を起こせなかったことと無一郎への嫉妬がつもり、心が狭くなっていくのを感じた。
これ以上あいつらをみたくない。
惨めな苛立ちを抑え、俺は布団に戻った。