万華鏡の姫君1章 〜特級呪術師&最強柱〜【鬼滅】【呪術】
第6章 6章 砕けた硝子の意味
有一郎サイド。
父さんが死んだ。
風邪を拗らせ肺炎を起こした母さんのために、薬草を取りに嵐の中山に入って、崖から落ちたらしい。
俺は必死に父さんを止めた。
何度も
何度も
何度も。
それでも父さんは嵐の中すぐ帰るという守れない約束をして家を出たきり帰らぬ人になった。
その3日後
母さんも死んだ。
肺炎を悪化させて。
母さんにも休むように必死に訴えた。
何度も
何度も
何度も。
それでも家事を休むことをしなかった。大丈夫とやつれた笑顔を見せて。
風邪を拗らせ肺炎になるまで休まなかった。
絢蘭も2人をなんとしようと必死だったな。
結局ダメだったけど。
そんなに俺は頼りないのか?
そんなに俺は信用できないのか?
そんなに俺は子供か?
双子とは言え、一番上の兄貴だ。
少しくらい頼ってくれたってよかったのに。
少しくらい背負わせてくれたってよかったのに
クソ!
頼ってもらえなかったことが苛つく。
背負わせてくれなかったことが苛つく。
何より
何にも出来なかった俺自身が一番苛つく。
ずっと悲しんでいても、苛ついていても仕方がない。
両親が死んでも、助けてくれる大人がいない。
ただでさえ村の奴らから煙たがれてるから。
俺達だけでも働かなきゃ今日喰う飯もない。
俺は長男だからこの2人をささえなきゃいけない。
悲しみは捨てて、明日生きるために働かなければ。
俺は無一郎と父さんの仕事を引き継ぐ事にした。