万華鏡の姫君1章 〜特級呪術師&最強柱〜【鬼滅】【呪術】
第6章 6章 砕けた硝子の意味
父「そうか。それは怖かっただろう。でも父さんは大丈夫だ。お前がこうして、事前に伝えてくれるだろ?だから崖の近くには絶対に行かないし、いつも以上に注意する。」
『で、でも…』
有「無茶だって父さん!!いくら山に慣れてるって言ったって、こんな嵐の中山に行って、薬草見つけるなんてありえない、無謀すぎるよ!」
無「そうだよ!!それに地盤も雨で弛んでるし、風も強くて視界が悪くて危険だよ」
有「それに例え薬草が見つかったとしても、お医者様が入手困難の薬なのに、山に生えてる薬草にそんな効き目ないよ。」
何も言えなくなってしまった私に変わって、ゆうとむいが必死にお父さんを引き留めようとしてくれる。
けど
父「それじゃあお前らは、苦しむ母ちゃんをそのままみてるのか?」
いつもより低い声。
こんな真剣な表情見たことない。
父「こんな事はあっちゃいけないし、言いたくもないが、お医者の薬を待ってるうちに、母ちゃんが死んじまったらどうする。」
お父さんの言葉にハッとする。
ゆうとむいも同じ表情をしてる。
そうかお父さんは後悔したくないんだ。
やれることはやりたいんだ。
だってお父さんはお母さんが本当に大好きだから。
お父さんの気持ちが分かり自分の言葉に反省する。
でも、このままだと…
父「それにどんな薬草だって無いよりはましだろ?お医者様来るまで母ちゃんが耐えられればいいんだ。」
そう言うお父さんの顔はいつもの優しいお父さんに戻っていた。
父「それに絢蘭。今回は前に俺が怪我したときみたいに、お前の体調悪くないのだろ?」
『…うん。』
父「それにやな予感はしない。だろ?」
『そうだけど…でも!!』
父「じゃあ大丈夫だ!!父さんを信じろ。ありがとな心配してくれて。ちゃんとお前達が言ってくれた事も気を付ける。すぐに帰ってくるから、母ちゃんをそれまで頼んだぞ。」
そう言って嵐の中笑顔で行ってしまった。
"行かないで"
と言えなかった。
そしてその笑顔を最期にお父さんはこの家に帰ってくることはなかった。
夢で見た通り、お父さんは嵐の山の中で、足を滑らせ崖から落ちて
死んでしまった。