第18章 日輪刀と二人の力・・・そして初任務へ

美しい。
という言葉では表現できない。
まぁ俺は話したりこういった時に上手い言葉を言うのが苦手なのだが。
だが他の皆も同じようで一瞬驚きや感嘆の声が聞こえたぐらいで、今は誰一人声を出さず絢蘭の日輪刀に目が向いている。
お館様も予想外だったのか、同じように刀から一切目線を逸らさなかった。

刀鍛冶は刀を誰より観察し何かぶつぶつと言いながら興奮気味だった。
この男は比較的には落ち着いている方だが、他の刀鍛冶は刀の色変わりや破損すると人が変わったようになるものが多い。

少しして落ち着きを取り戻した刀鍛冶が驚く発言をした。
本当の姿は別にある。と
言っている意味が分からなかった。
日輪刀は一度染まったら、色を変える事はない。
それは新しい日輪刀を再び手にして、同じように無の状態から握っても必ず同じ色に染まる。
剣士が呼吸を変えなければ別の話だが、そもそも一つの呼吸しか使えないのが当たり前だ。
だが、絢蘭は何故か全部の呼吸を使える。
それがこの透明の刀と何か関係あるかもしれない。

そんな事を考えていたら刀鍛冶が、絢蘭にもう一度刀を握る様に促していた。
より強く、より長くと。
彼女自身の握力は、恐らく一般的な事もよりは低い。
だが、”呪力”という不思議な力のおかげで俺達と同等の力を出せる。
恐らく里長が何かしら知っているのだろう。
絢蘭の先祖”狗巻凛”について。

絢蘭は言われた通り強く長く握り直した。
すると驚愕な反応が起き始めた。
透明な硝子の様な刀の表面に凹凸ができ始めた。
しかも長く握るとほど面の数が増え、細かく彫刻の様な刀に変わったのだ。
全ての面に日の光が反射しとても美しいと思った。
まるで輝く瞳と、優しく純粋な心を持つ絢蘭そのものを現している様だ。
不死川や胡蝶も恐らく同じように思っているのだろう。
二人とも優しい眼差しで彼女を見つめている。
他の柱あまりの出来事に困惑した表情をしているが。

しばらくの沈黙を切ったのは、宇随だった。


天「発言を許していただきたい。絢蘭の事は以前から俺達とは違う何かがあるとは分かっていました。初めて顔合わせした時はちょっとした違和感程度だった。まぁあの不死川にべったりだったのは驚いたが。」


不死川が思いっきり宇随を睨みつけていた。