第18章 日輪刀と二人の力・・・そして初任務へ

絢蘭と無一郎以外が、規格外すぎる日輪刀の色変わりに驚愕していた。
勿論耀哉も。
そして誰より前のめりで刀に穴が開くほど見入っていたのは、鉄井戸だ。
まぁこれは刀鍛冶の性分なのだが、鉄井戸は他の者に比べれば落ち着ている。
だが今回ばかりは歴史的な瞬間に立てた事に興奮を抑えられなかったようだ。


鉄「おっとあまりに芸術的で見た事もない色だったもんで、久々に興奮しちまいました。実はその刀はもう一段階変わるらしく、里長が言うには、”染まり切ったらもう一度強く握るときっとその刀本来の姿を現すだろう。”との事です。お嬢さん。もう一度今より強く握ってくだせぇな。」


絢蘭は頷くとさらに力を込めて握る。
すると、綺麗に透き通った透明な硝子の様な刀に凹凸ができ始めた。
周りがまた目を見開いて驚いたていた。
だが絢蘭はお構いなしに、刀の変化を楽しんでいた。
どんどんと凹凸が増えていく。
どうやら、握る時間が長く強いほど凹凸の数が細かく増える様だ。
勿論単純の握力だけではない。
本人は意識していないが、呪力も加わっているので相当の力がかかっているのだ。

しばらくすると、凹凸の変化も終わり綺麗に整えられどの向きに変えても光を反射し、どの部分にも人を映し出すほど輝いていたのだ。
鉄井戸曰く、最初だけは時間が掛ったが次からは、2回強い力で一瞬握るとこの形状に変わるらしい。
3回握ると通常の刀の色に戻る。
透明な刀は悪い意味でも目立ってしまう。
そのため指南書には記録としては残っていたが打ち方は書かれていなかった。
しかしその仕組みを生かして、執念で里長が打ちは果たしたとのことだ。
形状記憶合金の様な物だろう。

つまり呪力を込めながら強く握る回数によって刀の色や形状が変わる。
1回だと透明刀に、2回だと凹凸がある形状。
これが本来のこの刀の姿。
3回目に普通の日輪刀の姿に戻るということだ。

流石の耀哉ここまでの物予測していなかった様で驚きを隠せない。
他の柱達は言うまでもなく。
そんな柱達をを気にする事もなく、絢蘭はまるで玩具の様に何度も形状を変化させ、無一郎やしのぶ達に無邪気な笑顔をみせていたのだ。
しのぶや実弥はこんな時なのに、いつも通りの絢蘭で呆れはあるものの初めてこんな大勢の前で笑顔を見せてくれたことに嬉しく思うのだった。