万華鏡の姫君1章 〜特級呪術師&最強柱〜【鬼滅】【呪術】
第17章 9. 同じ志持つ者達 戦うという事の意味
だが、そんな俺の心配は杞憂に終わった。
『…抱っこ。』
し実「「!?」」
蜜「ん?抱っこ?いいわよ。おいで絢蘭ちゃん。よいしょって軽い!いくら何でも軽すぎるわ!しのぶちゃんが見てくれてるなら心配ないんだろうけど、桜餅以外にも差し入れした方がいいかしら?」
慌てる甘露寺をよそに、抱えられた状態で絢蘭は伊黒の方を向き、頬に手を伸ばしていた。
小「⁉」
『…すごいつらい思いしたんだね。自分が生きるためにあなたをいじめちゃダメだよ。しかもあんなの言いなりになってこんな事を。いたかったよね。これのせいで心もいたいって言ってる。』
小「っ‼…お前は何故知っている?そもそも俺が怖くないのか?」
『??なんでかは分からないけど、”瞳”を見つめるとその人の本当のせいかくとか、かこ?が見れるの。お兄さんはすごくつらくて、くるしくて、いたかったのに今は多くの人たちを助けてくれてる。そんな人をやさしいくて強い人だとは思うけど、こわいなんて思わないよ。それに目の色だってちがってとてもきれい。私なんか色がないから。』
そういえば甘露寺の話を聞いてる時、ちらちらと伊黒の方を気にしてたなァ。
躊躇いはあったが、今日あったばかりの奴に抱える様にせがみ、自ら触れるとは驚いた。
胡蝶も驚きを隠せないようだ。
てっきり警戒するかと思ったんだが、あいつの不思議な”瞳”の
力で伊黒の過去を見て追体験をしたんだろ。
絢蘭は伊黒の鏑丸を撫でながら優しい笑顔で涙を流していた。
その事にも驚いたっつうか初めて見たが、その涙を伊黒が優しく拭っていた事に衝撃がでけぇ。
伊黒も警戒心が柱の中でも高い。
過去の出来事が原因で本来の姿を見せるのは甘露寺ぐらいだ。
俺に対しても完全には素を見せて。
流石に絢蘭がいきなり話し始めた時は警戒していた様だ。
だがそれが驚愕に変わり、最後には大切なものに触れる様な行動に驚きを隠せない。
しかし伊黒の素顔を引き出した絢蘭にか、俺に懐くのにあんなに時間が掛ったってのに一瞬で絢蘭と打ち解けた伊黒か。
なんか悔しいのはどっちに対してなのかは分かんねぇ。