万華鏡の姫君1章 〜特級呪術師&最強柱〜【鬼滅】【呪術】
第16章 8.守るために…
しのぶサイド
実際手合わせしてみると予想を遥かに超えた身体能力でした。
普通だと始めからカナヲやアオイに勝てることはありえません。
カナヲはまだ隊士ではありませんが、根気よく私やアオイと鍛錬に励んでますからそこら辺の隊士より力はあります。
アオイだって元隊士といっても身体能力は落ちていません。
ですが、絢蘭の持つあの力の影響なのか剣の使い方を覚えてしまえばすぐ柱になるに違いないとかんじました。
ただそれだけの力が彼女の心身に影響がないとは言えません。
身体の方は呪術で何とかなっているらしいのですが、問題は心です。
絢蘭ちゃんは素直でまっすぐで優しい頑張り屋さんです。
ただ”誰かのために”という気持ちが一番大きく、さらに記憶を保つのが難しい。
自分の事だと尚更です。
そしてどんな時でも表情を変えません。
いや、変える事が出来ません。
今は心を許せる数少ない者にだけ笑顔を見せてくれます。
だけどその笑顔も私の様に作った笑顔。
辛くても苦しくても、作った仮面の笑顔のままなんです。
彼女の場合は感情事態も忘れてしまっているのでしょう。
これからは些細な変化にも注意していかねばいけませんね。
彼女の力や今後の訓練の内容など色々考えていましたら、可愛らしい子が抱き着いてきてくれました。
『あのさねぇね?よかったら”花の呼吸の型”ぜんぶ見せてほしの。だめかな?』
し「も…もちろんですよ!申し訳ないのですが、私は花の呼吸から派生として生み出した蟲の呼吸の使い手です。一応姉さんに花の呼吸を取得するため鍛えられましたので、一通りお見せする事は出来ます。しかし、威力や花の呼吸の美しさは格段に落ちます。それでもよろしいですか?」
『もちろん!でもねぇねの”剣”すっごいきれいだったよ!』
突然かわいい顔からの上目遣い…。
あんな顔を目のまでされて断れる人がいるのでしょうか?
私には絶対無理です。
まぁ大抵は断る事なんてありえませんが。
私は姉さんの死後、蟲柱として柱に主任しました。
本来なら姉さんと同じく”花柱”としてそこに立ちたかった。
ですが私には鬼に首を切れる程の筋力がありません。
なので研究鍛錬を重ね、藤の花の毒と素早い突きで柱になりました。
でもそれが私自身の力の無さが嫌なところなんです。
彼女はそんな私の剣を綺麗だといってくれました。