万華鏡の姫君1章 〜特級呪術師&最強柱〜【鬼滅】【呪術】
第9章 新章 1.暗黒に輝く2つの光
Noサイド
『何で1年もこんなところにいなきゃいけなかったの?私の見た目のせいなら、せめてむいだけでもたすけに来てくれなかったの?むいはなんにも、、、なんにもわるくないのに!』
絢蘭の涙が止まらない。
涙を流しながらやけになり叫び続ける。
今まで心の底に溜め込んだもの全て吐き出したようだ。
誰にぶつけてももう意味がない理不尽な怒りを。
『それに!それに…なんだっけ…うぅいたい!』
だが絢蘭は急に頭を抑えながら痛みに苦しみだした。
し「!!ッ大丈夫ですか?絢蘭ちゃん私の声聞こえますか?」
彼女の言う通りあの大惨事から1年も経って彼女達を見つけたのだ。
その間の苦しみを想像するだけで悪感がし胸を締め付けられる。
さらに自分よりまだ幼い子が鬼相手に戦ったらしい。
"ゆう"という兄を必死に守りながら。
自分達がしていることはまだまだ足りない。
速く鬼のいない日常を送れるようにしなくてはと、しのぶと義勇は痛感した。
『いたいっ!だれをすくえなかった?…ハァハァ…おまえはだれっ!いたい!あ゛ー!』
彼女の脳内には、彼女は生きていると思っている有一郎の瀕死の姿そして1年前突然現れ襲っていた鬼を殺した鬼の元祖鬼舞辻無惨の姿がうっすらと浮かんでいる。
だが鬼を殺したことも、また会いに来ると言ったことも、万華鏡の姫君と呼ばれたことも一切彼女は覚えていない。
ただ異様に蒼白い顔をした男の顔が浮かぶだけなのだ。
それにより記憶が刺激され、酷い頭痛を起こしている状態。
唯一の彼女の理解者である無一郎は薬の効果と体力が底を付き気を失っている。
問いかけに応じない彼女に鎮静剤を射とうか悩んでいると彼女の隣から不気味な気配を感じた。
有「大丈夫だよ絢蘭俺はいつもお前の中にいるよ。だから落ち着いて。」
『ゆう…。よかった。』
不気味な気配は人型になり、無一郎そっくりな人物が現れた。
"ゆう"と呼ばれた彼のお陰で絢蘭は落ち着きを取り戻し、そのまま気を失ってしまった。
ただ彼は地に足が着いていない。
しのぶと義勇は直ぐに構えをとり、戦闘体勢に入る。
しかし、"ゆう"と呼ばれた亡霊と呼ぶべき存在は薄気味悪く笑うのだった。