万華鏡の姫君1章 〜特級呪術師&最強柱〜【鬼滅】【呪術】
第9章 新章 1.暗黒に輝く2つの光
Noサイド
義勇としのぶが村に到着する四刻ほど前。
すっかり痩せ細ってしまった無一郎と絢蘭に遅めの朝餉が村人達によって運ばれてきた。
最初こそは、量は少なかったがちゃんとした食料と水を用意されていた。
だが、月日が経つうちにどんどん食料は痛んだような者になり、水もとても飲めるものでは無くなっていった。
それでも食べたり飲まないと生きていけないため、有一郎にこっそり新鮮な水と交換してもらった。
絢蘭自身や無一郎が気づかない中食べ物傷みを反転術式で少し回復させたり、呪力で暖めてりしてたから食べていたので、軽い腹痛はあったがそれも治せたこともあり何とか命を繋いできた。
しかし絢蘭は無意識で反転術式をかけ体内の不足している栄養作り出せているが、無一郎はそうは行かない。
腹痛や熱などは絢蘭が触れることで治せるが、栄養失調はそうは行かない。
直接無一郎に唾液や血液を渡せれば、少しは回復できるところまで絢蘭の反転術式は進化していた。
だが、鎖と縄でがんじがらめの状態のため、口付けで治療する以外の記憶もない絢蘭は少しでも多く無一郎に食べさせるしか出来なかった。
村1「まだ生きてやがったか。っつっても今にも死にそうな程痩せ細ってるがな。ハハ」
村2「本当だ。しかし臭ぇし、虫がたかり始めてきたぜ」
村人は鼻をつまみながら大袈裟に手で払う。
その行為の意味がわからない絢蘭はやはり首を傾げるだけだった。
だが一瞬にして絢蘭表情が強張る。
『……て!』
村2「なんっつたか聞こえねぇよ!ブハハ」
呑気に笑う村人達だが、絢蘭は頭痛にみまわれ冷や汗を流しながら何かを必死に伝えようとする。
無「…絢蘭?…どうしたの?」
意識が朦朧とし始めている無一郎も流石に絢蘭の異変に気づいたようだ。
『大丈夫…音は聞こえちゃうけど、むいは何があっても目を閉じてて。』
普段の幼い絢蘭とは違い、無一郎は混乱したが絢蘭の瞳に光が指しているのを見ると、頷きそっと目を閉じた。
そして再び
『逃げて!!』
と叫んだ。