万華鏡の姫君1章 〜特級呪術師&最強柱〜【鬼滅】【呪術】
第9章 新章 1.暗黒に輝く2つの光
拐った村人達は、洞窟の奥まで移動する。
到着すると、絢蘭と無一郎を下ろし、両手首と両足を紐で固く締め、胴体を鎖で巻き木に括り付け身動きを封じた。
村1「これだけすれば逃げられねぇだろう。」
村2「下手に殺して厄介な事が起きたら元もこもねぇしなぁ。」
村3「だなぁ。にしてもこいつらいつまで寝てんだ?さすがに飯だけでも食わせねぇと。」
村人が、二人の頬を叩いて起こすことを試みる。
そして絢蘭が瞼をゆっくり開けた。
『……。』
しかし、この状況に慌てることもなく、光を失ったような目で村人達ゆっくり見渡す。
村1「な、なんだよ!その目は!」
村2「お前のせいで俺達の村はひでぇ目にあったんだぞ!」
いきなり浴びせられる罵詈雑言も全く理解してい無く、絢蘭は少し首を傾げる。
村3「そこの餓鬼だけおいてくるわけいかねぇからな。恨むんなら自分を恨め!」
村人が顎で指した方向に目を向けると、まだ意識の戻ってない無一郎が絢蘭の隣にいた。
『…!…むい!むい!』
無「……絢蘭?」
『良かった。むいが無事で。あれから…。あれからってなんだっけ?とにかくむいだけでも無事で良かった。それとゆうも。何かに襲われた気がするけど全く思い出せない。むいとゆうのことしか…痛ッ!』
無「絢蘭!!大丈夫?僕も何にも思い出せないんだ。でも絢蘭の事だけは覚えてるし、無事で良かった。でも何で僕達捕まってるの?それとゆうって…」
"誰?"と聞いちゃいけない気がした無一郎。
それは絢蘭の表情が、不安で満ちていてどこか幼かったからだ。
この時点で、二人に記憶が無くなったことが分かった。
無一郎は目の前で兄の有一郎が瀕死合わされ、今まで経験したこともない怒りを爆発させたことが原因だろう。
両親や今までの生活の記憶もないが、強く思っていた絢蘭の存在だけは覚えていたようだ。
絢蘭は無一郎と有一郎だけの記憶があった。
といっても無一郎に関しては兄という記憶しかない。
有一郎を助けられなかった強い後悔と自責の念に押し潰されそうになり、死んだ事を認められていない。
さらに無意識に自ら記憶を消し、心もまだ幼かった7歳で蓋をしてしまったのだ。