万華鏡の姫君1章 〜特級呪術師&最強柱〜【鬼滅】【呪術】
第6章 6章 砕けた硝子の意味
Noサイド
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鬼舞辻が絢蘭達の前に表す四刻半程前
白髪で顔や腕が切り傷だらけの青年が、剣を腰に携え風のような速さである村に向かっていた。
彼は風柱不死川実弥。
風の呼吸の使い手であり、柱の中でも実力は上位にいる。
また鬼対しての憎悪が強く、使えない一般隊士には苛つきを隠さないため恐れられている。
だが、本当は面倒見がよく、鬼に誰一人たりとも殺させたくない。
そのためわざと憎まれ役をかっている何とも不器用な男だ。
そんな彼が相棒の鎹鴉である爽籟を引き連れ、まだ夜が明け気配がない暗闇を全速力で走っている。
彼の上官であり最も尊敬している、御館様こと産屋敷耀哉の命が下されたからだ。
遡る程半刻程前
実弥は爽籟から御館様から"力を貸して欲しい。
詳しくは屋敷で"と言伝てを受け取り、鬼殺隊の本部へ向かった。
普段柱合会議の挨拶などが行われる、産屋敷家の広大な庭ではなく、御館様のいる私室に案内された。
室内で柱合会議も行われることが多いが、柱となって初めて私室に案内された。
よほど危険な任務か、緊急性が求められる任務かと粗方推測して、部屋の前に膝まずく。
実「御館様。失礼致します。不死川です。」
御「入っておいで。」
中からは殺伐とした鬼殺隊の当主とは思えないほど、穏やかで柔らかい声がする。
御館様の許可を得て、静かに戸を開け素早く部屋に入る。
再び静かに戸を締め片膝を付け、頭を下げる。
御「今日は挨拶はいいよ。こんな時間に急に呼び出して申し訳なかったね実弥。」
実「いえ。御館様の命ならばいつでも参ります。御館様、どのような任務でしょうか。御館様直々に命が下されるとは、やはり十二鬼月が表れたのでしょうか?」
御「さすがに察しがいいね。一刻も争うから本当は手紙でも良かったのだけれど、実弥には事前に知って貰った方がいいと思って、来てもらったんだよ。」
実「どのような事ですか?」
思わず首をかしげる。
御「そうだね…。実弥には、ここから西南の方にある村にいる、双子の男の子とその妹の三人を保護して欲しいんだ。」
御館様少し考える表情を見せ、今回の任務について話し出した。