万華鏡の姫君1章 〜特級呪術師&最強柱〜【鬼滅】【呪術】
第6章 6章 砕けた硝子の意味
まさか自分の事が、鬼の始祖である鬼舞辻無惨に共有されてるとは知らず、絢蘭は恐怖から来る震えと冷や汗に耐えながら、有一郎を守るように立つ。
よく鬼の目を見ると、"下弦参"の上に×印が書かれている。
下弦参だったが、無惨の采配で剥奪されたようだ。
だからといって決して弱くなったわけではない。
その強さをわかっているのだろう。
絢蘭が握る長包丁が震えている。
鬼はその状況も楽しんでいるようだ。
参【ハハハ。そんなに怯えなくても大丈夫だ。すぐ楽にしてやるから。】
気色悪い顔から気味の悪い笑い声と恐ろしい内容を口にだし、絢蘭にゆっくり近づいてくる。
気色悪さからなのか、恐怖からなのか思わず後ろに下がった。
『(どうしよう。こいつ鬼だよね?だったらさっきの奴に放った攻撃をしても死なない。あまねさんが言ってた刀もない。外にだして朝まで攻撃するしかない!)』
心の中で途方もくれない戦いを決心した時だった。
参【お前は稀血。しかも特別な稀血だな。お前を喰えば千人以上の人間を喰ったことになる。俺は強くなりあの御方から血を…。再び十二鬼月に戻れる。】
『人を食べる…。千人分…。』
今まで対峙した呪霊は襲うとこで止まる程度だったため、人を食べ栄養としている事への衝撃が大きいようだ。
しかも絢蘭は稀血の中の稀血。
それも格が違い、雑魚鬼なら血を一滴垂らす程度で失神してしまう。
しかし絢蘭はたった今、自身の血が鬼にとってのご馳走だと知ったところだ。
血を流せばは足留め程度はできるが、そんな知識など知らない。
それに相手は元とはいえ、十二鬼月だ。
十二鬼月とはある程度以上の人を喰らい、強力な血気術を使え、鬼舞辻無惨の再拝で直々の配下となり、無惨の血を分けて貰うことができる。
鬼にとって無惨は絶対の存在で鬼を産み出す唯一の存在。
また、ここ何百年もいれ代わりがなく、鬼殺隊の要である柱を何人も葬っている上弦の鬼達。
下弦の鬼達は入れ替えが激しく、無能と判断されればこの鬼のように数字を剥奪されるのだ。
だから元十二鬼月にとって稀血の人間を喰らうことは、名誉復活の機会が与えられるようなもの。
しかし、この鬼は無惨の地雷を踏んでいることに気づいていない。