万華鏡の姫君1章 〜特級呪術師&最強柱〜【鬼滅】【呪術】
第6章 6章 砕けた硝子の意味
『もういい!お願いだからもう話さないで!許すも許さないもないよ。もとは私がちゃんと力を使えなかったから、お母さん達を助けられなかった。そのせいで、ゆう達も苦しめた。私が悪いの!』
せっかく止まりかけた涙がまた流れる。
『なのに二人とも責めなかった。それにゆうは私達のために必死に助けようと頑張ってくれてたこと知ってるよ。それでゆう自身を責めていることも。』
『知っていたのに、ゆうの力になれなくて悔しかったの。だから鬼殺隊に入れば、きっとこの力ももっと巧く使えるようになると思っていたの。なのにゆうの気持ちを無視してごめんなさい。私達のことを心配して止めてくれたんだよね?よく考えれば分かることなのに、私が家を飛び出したせいでゆうが…。』
有一郎を握る手の力が強まり震える。
そんな絢蘭を慰めるように握られた手を、僅かに握り返す。
有「そっ…か…。知っ…てたん…だ…な。不…器用…なの…に…お…前達…を守ら…な…いと…って…必死に…成…る程…空回っ…て…苛立…ってた…んだ。それ…を…心…配し…てくれ…た無…一郎…に…いつも当…たって…。はぁ…はぁ…。最…初か…ら頼れ…ば良かった…んだ…。大…切な…家族…を…信用し…よう…とし…なかっ…た…罰…が当…たっ…たんだ…。だ…から…お前…達…は何…も悪…くな…い…。」
苦しげに言う有一郎は悲しげな表情を浮かべる。
それは直に迎える死なのか、隣にいる愛しい者への後悔なのか、それは分からない。
有一郎の言葉を聞いて何故か、絢蘭は僅かに笑みを浮かべた。
『フフ。むいもさっき同じようなことを言ってたよ?"僕が悪いんだ。父さん達が死んでから兄さんが必死に頑張ってくれてるのに、僕がいつも余計なことを言って怒らせてしまう。今日だって、兄さん気持ちを考えずに話した僕に苛立ったんだ"って。さすが双子だね。二人が二人の事を思いやっている。だからそんな悲しい顔で思い悩まないで!私はいつもゆうに助けてもらってる。だから今度は私の番だよ?』
涙を流しながらも、穏やかな表情で話す絢蘭の様子にホッとする。
そして最初で最期になるであろう事を決心する。