万華鏡の姫君1章 〜特級呪術師&最強柱〜【鬼滅】【呪術】
第6章 6章 砕けた硝子の意味
Noサイド
絢蘭はやっとの思いで家の前にたどり着いた。
しかし血生臭さが嗅覚を刺激し、中にいる兄は大怪我を負っていると確信する。
外にいるもう一人の兄も心配だが、絢蘭は悩むことなく玄関であったであろう場所へ踏みいる。
『!!ッゆうー!』
目の前に広がった光景は、絢蘭が想像した以上に悲惨な状態だった。
家の中はあちこち壊され、血飛沫がついている。
何より有一郎が全身に傷を負い、左上腕がなく大量に出血しているため顔色が青白い。
『ゆう!来るの遅くなってごめんね。今すぐ治すから…』
"気をしっかりもって"
といいながら傷口に口付けをしようとした時、有一郎が首を横に降り止めた。
有「…ありが…とう…。でも…俺…はもう駄目…みたい…。だか…ら、絢蘭…の大切…な力を…俺なん…かに使っ…ちゃ駄目…。」
最期を悟ったのか、最近では見せていなかった穏やかな表情で絢蘭に諭す。
『!!ッ。そんなことない!絶対に私が治すから!絶対に…』
絢蘭自身も本当は分かっていた。
今の自分では有一郎を救うことが出来ない。
兄であり、でも以前から何か兄とは違う感情抱いていた。
それがたった今、瀕死状態の有一郎を見て家族としてだけじゃなく、特別な存在、好きと言う感情が一気に溢れだしたのだ。
だから、何が何でも助けたい気持ちが涙として溢れ出ていた。
必死に助けようとする絢蘭の涙を、有一郎は残させた腕を懸命にあげ、優しく拭いそっと頬に手をおき撫でる。
有「そんな…に…泣く…な。可愛…い顔が…台…無しだ…ぞ?今さ…ら謝…っても…許し…て…貰…おうと…は思…わない…。け…ど…さっ…きは…酷い…こ…と言っ…て本…当に…ご…めん…な。一…番言っ…ちゃい…けない…こと…を言…って…お前…を傷…付け…て…しま…った。ゴボッ」
無理して話したためだろう。
口から吐血してしまった。
それを見て絢蘭は慌てて、頬に添えられた手を両手握りしめ話すのを止めるよう促す。