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【NARUTO】月影の恋人(R18)

第7章 門出



 ある日の昼下がり、親父さまに呼び出されて部屋へと向かう。
ここに呼び出されるときは、大概がお説教、ごくたまーに褒め言葉。
親父さまの顔を見れば、今日がどっちかは一目瞭然。
わたしはそろーりと襖を開けて中を覗き込んだ。

「親父さま、夕月です……」

「おう、来たか」

あ!ご機嫌の顔!最近大人しくしてたもんね!

わたしは嬉々として部屋へと入る。

「なに?」

「まぁ、座れ」

置かれていた座布団に座ると、親父さまは吸っていたキセルをたばこ盆に叩きつけて灰を落とした。

「夕月に身請け話が来てんだよ」

「え?それは親父さまが断り続けてるんやろ?」

「ちがう!あの、前来たろ!
雷の国の大名の息子!
帰ってからも忘れられんからお前を身請けしたいって……」

「ぜっったい嫌や!!」

「忍のは諦めろ!」

被せるように親父さまがいきなり大声を上げる。

「アイツじゃお前を幸せにできん!」

「そんなことない!
カカシといられるだけでわたしは幸せやもん!」

「お前は若いからそう思うだけや!
愛がなくなったら、お前に何が残る?
もしアイツが死んだら?
大名の息子なら金が残る!
そっちにしとけ!!」

「お金なんかいらんわ!
カカシがもしいなくなっちゃっても、わたしは1人で何してでも生き延びるから!」

ピシャっと親父さまの大きな手がわたしの頬を張る。

「世間知らずの小娘に何がわかる!!」

ヒリヒリ痛む頬を押さえて、顔を赤くして怒る親父さまを睨む。

「確かに……、確かにわたしはなんも知らんかもしれんけど、自分がどうしたいかくらい分かるわ!!
わたしはぜっったい身請けの話受けへんからっ!!」

わたしはパーンと思い切り襖を開けると部屋を飛び出した。
親父さまは足が悪いから、追ってくることはできない。
親父さまはまだ何か言っていたけど、わたしは無視して自分の部屋まで走って逃げた。

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