第6章 痕
「嫌や、大丈夫やから抱いてほしい……」
「でも……」
「全部、カカシでいっぱいにして……、わたしの中、上書きして」
っ、もー。この子はすごい殺し文句言ってる自覚、あるのかな……
オレは苦しいくらいにきつく首に回されていた手を解くと、結をそのまま布団の上に押し倒した。
「しんどかったら、ちゃんと言ってよ」
コクリとまだ涙の残った目で頷く結に口付ける。
結の甘い匂いと控えめな喘ぎ声で満たされた空間で、オレは今までに無いくらいゆっくりと、優しく結を抱いた。
これ以上なにも彼女を傷つけることがないように……