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【NARUTO】月影の恋人(R18)

第2章 桜の香



「沙耶っ!!大丈夫!?」

須藤を押し退けて外に出ようとするが、大きな手に肩を押されて呆気なく部屋に押し倒されてしまう。

「久しぶりやな、夕月」

お酒のせいで赤黒くなった顔、酒臭い息。
どでかい図体に下卑た笑い声。
怯みそうになるのをこらえてきっと須藤を睨みつける。

「うちの禿になにすんねんっ!!」

「邪魔やから、どいてもらっただけや」

上に覆いかぶさってくる体を押し退けようと振り上げた手を掴まれて、床に縫い付けられる。
沙耶は大丈夫だろうか。
不安と恐怖で思考がうまく回らなくなる。

「なんでオレを出禁なんかにすんねん。
同郷のよしみで、幽霊やて嫌われもんのお前をあんなに可愛がったったやろ?」

気持ち悪い猫撫で声に全身に鳥肌が立つ。

「そんなん頼んでへんわっ!どいてよ!!
嫌やっ誰かっ!!!」

着物の裾を割られ太ももを須藤の手が這い回る。
わたしは気持ち悪くて力の限りに足をジタバタさせ抵抗する。
その足が、須藤の腹を蹴った。

「うっ……、こんにゃろ……!!」

一瞬怯んだ須藤の下から這い出そうとしたとき、顔の横にギラリと鈍く光るものが見えた。
その瞬間、わたしは恐怖で声を失ってしまう。

「大人しくしろ!!」

須藤がわたしの顔の横にナイフを突き立てたのだ。

「あ、……ゃっ……ぁ」 

体が冷たくなって、汗が体中から噴き出る。
震えが止まらなくなり、どうやって呼吸すればいいのかさえ分からなくなる。

こわい!こわいこわいこわいこわい!!!!!

「へへ、遊女のくせに抵抗してんじゃねぇよ!!」

急に大人しくなったわたしに気をよくした須藤が、わたしの首元に顔を寄せてくる。
でもわたしは抵抗することもできない。
ただ震えて体をこわばらせた。

そのとき「おい、何やってんの」と聞き覚えのある声が耳に入る。

「あん?」

お楽しみを邪魔され不機嫌に振り返った須藤がわたしの上から吹き飛ぶ。

カカシ……

声の主の名前を呼ぼうとしたが、わたしの口からは微かに息がもれただけだった。
「夕月」と呼ぶカカシの声に応えることもできないまま、わたしは意識を手放した。



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