第2章 誕生日。
小さいときからわたしに見えてる世界には異形なモノがいた。目を合わせなければ大丈夫だった。気付かないフリをすれば平和だった。
私が見てるその世界はみんなにも見えてると疑いもしなかった。
周りからは嘘つきと言われた。
両親からは気味が悪いと遠ざけられた。
誰にも信じてもらえなくて、悲しかった。辛かった。
なにより、両親から遠ざけられることが一番苦しかった……。
わたしは学んだ。
わたしは普通じゃない。だから、普通を装って生きてくしかない。なにが見えても見えないフリをして生きていくしかない。
そうすれば誰からも嫌われたりしない…………。
愛されたかったら、本当の自分を殺すしかない……。
16歳の夏。
両親がわたしの誕生日を祝ってくれるために一緒に出掛けることになった。普通のフリをし続け、両親から遠ざけられないように生きてきた。だから、その努力が実を結んだと嬉しかった。
「お父さんとお母さんとどこに行けるんだろ。楽しみだなぁ。」
なにも知らないわたしは自分だけ幸せな気持ちになっていた。
16歳の夏。
わたしは両親から呪われた。